2023年10月27日に「1989 (Taylor’s Version)」が発売となりました。その収録曲である5つのVault Songsのうち3曲についてテイラーが語ったボイスメモが公開されましたので、その内容について詳しくご紹介します。
【From The Vault】の曲について
過去のアルバムのリレコーディング(再収録盤)である「Taylor’s Version」には、必ず「金庫や保管庫から取り出した」という意味で名付けられた「From The Vault」の曲が収録されています。
この「Vault Song」とは
テイラーが当時さまざまな事情で
リリースできなかった昔作った曲のこと。
契約していたレーベルの意向や、アルバムの全体的なバランスを考えた時に「この曲は外そう」と苦渋の決断をしていたテイラー。プロ意識の高さが感じられます。
2018年にレーベルを移籍し、いろいろな制約がなくなった今、彼女は時を超えて過去の曲を正式にリリースしてくれています。テイラー自身、眠っていた曲を「From The Vault」として出すことについて、「この曲たちが世に出ることがとても嬉しいし光栄に思うわ。」と語っていました。再収録をすることになった経緯については、ファンとしても歯がゆい気持ちでいっぱいですが、これがテイラーの未公開曲をリリースするきっかけになったのも事実です。

テイラーが世に出していないだけで、実はまだまだ名曲が存在するということ…!
テイラーが曲について語ったこと
では、ここから実際にテイラーがボイスメモで語っていた内容と、個人的な解釈も踏まえてご紹介していきます。
テイラーの声(音源)を聴き取って、筆者が意訳+解釈した内容になりますので、実際の意味とは少し異なる可能性があります。ご了承ください。
「”Slut!”」
まず、この曲は「1989」のために書かれた曲とのこと。

当時、アルバムからは外してしまったけれど、私はこの曲が大好き。
テイラーにとって、1989は「ニューヨーク」をイメージするアルバムだけど、「”Slut!”」は「カリフォルニア」が思い浮かぶそう。
曲作りの背景として、当時、恋多き女性としてメディアのターゲットにされてしまったたテイラーですが、そのときの自分の恋愛関係に関する噂や議論について、おもしろおかしく演じた曲だと語っていました。

ん?この話ってたしか・・・
聞き覚えがありますよね。
テイラーは9年前に似たような話をしていました。

テイラー
メディアは、みんなが私のことを「男好きのサイコパス」と呼ぶようなイメージを創り上げていった。最初はとても傷ついたわ。でも逆に、その虚像のキャラクター(=尻軽女)を使って曲を作ってやろう!って思ったのよ。
こうして生まれたのが、「Blank Space」という曲です。この曲は、まるで自分が遊び人かのように皮肉を交えながらメディアを風刺する内容でしたね。
Love’s a game, wanna play?
「Blank Space (Taylor’s Version)」by Taylor Swift
訳:「恋はゲームよ、遊びたい?」
Got a long list of ex-lovers
「Blank Space (Taylor’s Version)」by Taylor Swift
They’ll tell you I’m insane
訳:「元カレのリストの長さが
私が狂ってるって証明しているわ。」
“Slut!”ってどんな曲?
しかし「”Slut!”」という曲は、タイトルの意味とは対照的に、どこか冷静で落ち着いた曲調。曲を聴く前は、「”尻軽!”」と呼ばれることに対しての怒りや悲しみの感情を込めた曲を想像してしまっていたのですが、実際はうっとりと恋に夢中な様子を描いた優しいラブソングでした。

個人的な解釈ですが、ネガティブなメディアの声も適度に受け流せるほど、目の前の恋に夢中で幸せな様子を表現しているように感じます。上手く表現できないのですが、あれこれ騒音を立てるメディアに対して、冷静で大人な対応を取っている感じにも聞こえます。
実際、テイラー自身この曲を「Dreamy」(=夢のような幻想的な世界、夢中で幸福な様子)という言葉で表しています。
当時アルバムから外した理由
作曲した背景が同じ(内容は全然違う)だったことから、「Blank Space」と「”Slut!”」、どちらかを選ばなくてはいけなかったそうです。そして、テイラーが収録曲に選んだのは「Blank Space」でした。
- 「Blank Space」と製作背景(メディアに対する風刺)が似ていたから。
- 「カリフォルニア」のイメージがアルバムとマッチしなかったから。
また、当時はまだ使用する言葉にかなり気を遣っていた(F**kやS**tなどの下品なワードは使わない等)ので、これも少し関係しているのかなと個人的には感じました。
※「Slut」は、「尻軽女」や「誰とでも寝るような女」という侮辱の言葉を意味します。
「Now That We Don’t Talk」
この曲を世に出さない決断をしたのは、本当に苦しかったとのこと。
「Now That We Don’t Talk」は、テイラーがこれまでリリースした曲の中で「最も短い曲(2分26秒)」ですが、「その短い時間の中でも、力強く印象的なものになっていると思う。」と語っています。
当時アルバムから外した理由
「Now That We Don’t Talk」は、テイラーがアルバム製作の後半に作っていた曲でしたが、技術的な面(音響効果など?)で準備が完璧ではなく、思いどおりの曲に仕上がらなかったそうです。
しかし、今回(現在)は理想的なものに仕上げるための時間が十分にあったとのことで、晴れてリリースに至りました。
カットしたのは
- 当時は最終的に理想的な曲に仕上げられなかったから。
「Is It Over Now?」
現在、1989 (Taylor’s Version)の中で最もバズっている曲がこちら。
元々この曲は、The album over now(アルバムの終わり)という単純な言葉遊びの意味も含めて、アルバムの最後の曲にすると決めていたそう。
当時アルバムから外した理由
「Out Of The Woods」と「I Wish You Would」の姉妹曲
テイラーは「Is It Over Now?」について、「Out Of The Woods」と「I Wish You Would」の姉妹曲のように感じているそう。これらの3曲は似ていたので、残念ながらどの曲をカットするか、とても難しい決断をしなくてはならなかったと語っています。

でももう関係ないわね!みんな全部聴いてくれることがとっても幸せだわ。
私は「Let’s fast forward to 300 takeout coffees later」のところがお気に入りで、つい頭を振りたくなるんだけど、みんなもそうじゃない?
ダンス動画が流行っているのも納得の曲ですね!
- 「Out Of The Woods」と「I Wish You Would」の3曲が似ており、どれか外さなくてはいけなかったから。
まとめ
「この曲は似ているからカット」「内容が被るからカット」「アルバムの雰囲気がズレるからカット」というような、苦渋の決断の数々を重ねてできあがった1枚のアルバム。

この際、1枚のアルバムの制作過程をまるごとドキュメンタリーにしてほしい。
完璧なものに仕上げられない限り、世には出さないというテイラーのプロ意識を改めて感じられたのではないでしょうか?次の再収録盤は「Reputation」というヒントを出し続けているテイラー。テイラーの人生の中でも大きな出来事が重なった時期だけに、どんなVault Songsが秘められているのか今から楽しみです。
ぜひ、こういった制作背景も考えながら曲を聴いてみてください!♪