2024年4月19日に新しいアルバムを発売後、テイラーが白黒の新しいリハーサル映像を共有したことで、「次のライブからはセトリが変わる(New Eraが追加される)のではないか?」と話題に。
ヨーロッパ公演に向けて大きな期待が寄せられる中、この「The Eras Tour」だからこそ成し得る今回のセットリスト大規模変更。全体として、東京公演(2023年アメリカ公演~2024年シンガポール公演まで)とは大きく異なるライブ演出になりました。
もはや新しいツアー。
「これまでのエラズツアーと何が変わったのか?」その内容を詳しくまとめました。
なぜ変わったのか?
最新アルバム「TTPD」が発売
2024年3月9日にシンガポール公演を終えてから、2024年4月19日にNewアルバム「The Tortured Poets Department(以下TTPDと記載)」を発売。今回のツアーは「The Eras Tour」ということで、ツアー中に発売した新しいテイラーの一章を入れない理由がありません。よって、テイラーは2022年ごろからこの変更をすでに計画しており、2024年5月9日に再開したパリ公演までの2ヶ月間で、新しいパフォーマンスの準備してくれていたということになります。
これまで、ツアー中の新作「Taylor’s Version」発売後のライブでは、サプライズソングでVault Songを歌ってくれたり、新しいMVを観客と一緒に見たりと、数々のサプライズイベントを用意して楽しませてくれたテイラーですが、今回はまたもやその期待を大きく超えてくるサプライズでしたね。
どんなときでも最大限ファンを楽しませようとしてくれる姿勢に、頭を下げても下げきらない思い…。
【変更点】日本公演(~2024.3)との違い
それでは大きな変更からマイナーチェンジまで、詳しくみていきましょう。
メインビジュアル更新
今回のThe Eras Tourのメインビジュアルである10つのアルバムモチーフに「TTPD」が追加されました。
The Eras Tour Taylor Swift Official Site
グッズデザイン(新商品9種)
それに伴いグッズデザインも更新され、ツアー公式グッズに新商品のラインナップが9種類追加。
ステージビジュアル
開演前にステージに表示されるこちらにも「TTPD」が追加されました。
オープニングイントロに「TTPD」追加
テイラーが登場する直前に流れる「あのイントロ」です。「TTPD」から2フレーズ追加されました。
It’s been a long time coming.
It’s you and me.
What if I told you I’m back?
It’s Fearless.
Big reputation.
And they said, Speak Now.
Into folklore.
My name is Taylor and I was born in 1989!
Straight from The Tortured Poets Department.
evermore.
Loving him was Red.
Meet me at Midnight.
“Nice!”
セットリストの変化
これまでのセットリストとはアルバム順が大きく変更になりました。
タイムテーブル(旧)
2023年3月17日~2024年3月9日
0:00:00~0:25:00 Lover Era(25分)
0:25:00~0:35:00 Fearless Era (10分)
0:35:00~1:00:00 evermore Era(25分)
1:00:00~1:20:00 reputation Era(20分)
1:20:00~1:30:00 Speak Now Era(10分)
1:30:00~1:55:00 Red Era(25分)
1:55:00~2:25:00 folklore Era(30分)
2:25:00~2:45:00 1989 Era(20分)
2:45:00~2:55:00 サプライズソング(10分)
2:55:00~3:15:00 Midnights Era(20分)
タイムテーブル(新)パリ公演以降
New 2024年5月9日~
0:00:00~0:20:00 Lover Era(20分)
0:20:00~0:30:00 Fearless Era (10分)
0:30:00~0:55:00 Red Era(25分)
0:55:00~1:00:00 Speak Now Era(5分)
1:00:00~1:20:00 reputation Era(20分)
1:20:00~1:55:00 folkmore Era(35分)
1:55:00~2:15:00 1989 Era(20分)
2:15:00~2:45:00 TTPD Era(30分)★New
2:45:00~2:55:00 サプライズソング(10分)
2:55:00~3:15:00 Midnights Era(20分)
「folkmore」姉妹アルバムとして統合
コロナ禍に書き続けた2つのアルバムを、テイラーは度々「Twin(ふたご)」「Sister(姉妹)」という言葉で表現しています。そんな2つで1つの作品だからこそ、The Eras Tour vol.2では、この2つのアルバムを一つの章に統合すると説明してくれました。
「folkmore」でも「everlore」でも好きなように呼んでいいわ。
また、今回のパリ公演ではテイラーのイメージする季節についても言及してくれました。
- folkloreは「春/夏」のアルバム
- evermoreは「秋/冬」のアルバム
【New】セットリスト(2024.5~)
【Old Version】はこちら
新たに追加された曲(7曲)
- But Daddy I Love Him
- So High School
- Who’s Afraid of Little Old Me?
- Down Bad
- Fortnight
- The Smallest Man Who Ever Lived
- I Can Do It With A Broken Heart
カットされた曲・パフォーマンス
- The Archer(Lover)
- ‘tis the damn season(evermore)
- tolerate it(evermore)
- Long Live(Speak Now)
- the 1(folklore)
- the last great american dynasty(folklore)
その他、過去に「期間限定セトリ」として歌っていた曲はこちらで解説しています。
新しい演出
Lover
退場BGM
「The Archer」がカットされたことで「Lover」がこのEraの最後の曲となり、「My, My, My~, My~」というコーラスのハーモニーで退場し、バンドのギター音色で転換する流れに。
Speak Now
【Era転換】ダンサーによるダンスタイム
Red Eraからの転換に新しい映像が追加。さらに前方ステージにて、紫色のドレスをまとったダンサーたちが、「Enchanted」のBGMに合わせて約1分間のバレエダンスを披露。
退場方法
Long Liveがカットされたことで、「Speak Now Taylor’s Version」発売前の退場方法に戻るかたちに。
reputation
【Era転換】 黒いヘビ(新ビジュアル)
ステージ前方から後方へと消えていく白いヘビ → それを追うように新ビジュアルの黒いヘビが登場しました。(これまでは白ヘビが去った後「Speak Now Era」へと移っていました。)その後、この新しい黒ヘビは「folklore」の森へと迷い込んで消えていきます。
個人的には「白ヘビ:TTPD」→「黒ヘビ:reputation」という次のアルバムの流れを示しているように見えました。
evermore
【イントロ】雷
「marjorie」のパフォーマンス後、「willow」に入る直前に「雷音」の演出が加わりました。
各Eraに新しい衣装が追加
Lover
これまでのボディスーツとジャケットのラインナップに「オレンジ×ピンク」の新色が追加されました。
Fearless
2009年の「Fearlessツアー」で着ていたドレスをモチーフにしたと思われる「ブラック×シルバー」のフリンジドレスと「ブラックブーツ」が追加。
Red
「22」Tシャツのラインナップに下記3種類が追加。
- THIS IS NOT TAYLOR’S VERSION
- I BET YOU THINK ABOUT ME
- I KNEW U WERE TROUBLE
1つ目の「THIS IS NOT TAYLOR’S VERSION」というのは、昨年公開されたコンサートフィルム「TAYLOR SWIFT: THE ERAS TOUR (TAYLOR’S VERSION)」とは異なるよ、という意味を表している様子。
もうひとつ、Tシャツの下に着ている「レッド×ブラック」の衣装も、ネックラインのデザインが新しくなりました。
Speak Now
今回のツアーで大人気のEnchantedドレスに「ピンクパープル×シルバー」の新しいデザインが加わりました。こちらも昔テイラーが着ていたドレスを彷彿とさせるデザイン。
folklore/evermore
「レッドベリー」と「イエロー」のスリーブシフォンガウンが追加されました。
ちなみに「folklore」と「evermore」が統合されたことで、「evermore」の衣装はなくなっています。「willow」のパフォーマンス時には、「folklore」の衣装の上からマントを羽織るかたちに。
また、これまで1パターンだったグリーンの「マント」に加え、ビジュー入りのチョコレートカラーの新デザインマントが登場しました。
1989
1989らしさはそのまま、キラキラなグラデーションへとデザインを一新して、上下バイカラーの新セットアップに。
トップス6色「ピンク」「オレンジ」「グリーン」「イエロー」「パープル」「ブルー」× スカート6色「ブルー」「パープル」「ピンク」「オレンジ」「イエロー」「グリーン」が登場。
組み合わせは全36通り。テイラーの気分によって、どの組み合わせで登場するか予想するのが毎回楽しみです。
ブーツも左右で違うカラーになっててかわいい!
TTPD
ホワイトドレープガウン
「Fortnight」の歌詞にある「I love you, it’s ruining my life.」と書かれた印象的なホワイトのドレープドレス。こちらは「Vivienne Westwood」とのコラボ衣装です。
「TTPD」ロゴ入りジャケット
こちらは「The Smallest Man Who Ever Lived」のときのみ着用される衣装。よく見ると、テイラーそしてダンサーの衣装共に、薄汚れたボロボロなあしらいが施されています。これには「白旗(あなたを攻撃する気はないわ。)」を表現しているという考察も。「I’ll forget you, but I’ll never forgive.(もうあなたのことは忘れるけれど、決してあなたを許さないわ。)」という歌詞の意味ともつながるように思います。
Taylor's Smallest Man jacket was dirty and tattered like the white flag?! THE DETAILS
— Nicole⸆⸉ ISO~Indy 🤍 (@13LongLiveMagic) May 10, 2024
I don't know if I'll ever get to see The Eras Tour with my own eyes but I'm so thankful to be able to see pictures/vidoes pic.twitter.com/eOvRbPJCVG
ディティールまでこだわりがすごすぎる…
ビスチェ×テールコート(5パターン)
「I Can Do It With a Broken Heart」のパフォーマンス前に、ステージ上で衣装チェンジしてくれます。ミュージカルの舞台を意識した演出にぴったりな衣装。こちらは「ブラック×ゴールド」「ホワイト×ホワイト(シルバーラペル)」「シルバー×シルバー」「ホワイト×ホワイト(ブラックラペル)」「ゴールド(ビスチェ)/ブラック×ゴールド」の5パターン用意。
Midnights
サイドカットの入った新しい衣装が追加。Redのボディスーツと同じような胸元のVカットも特徴的です。
「TTPD」演出の見どころ
新しいアルバムから7曲をセットリストとして選んでくれたテイラー。個人的に感じた考察を含め、魅力をまとめてみます。※あくまで個人解釈(感想)としてご覧ください。
But Daddy I Love Him
必要以上に人の恋愛に干渉してくる一部ファンへの皮肉を歌った「But Daddy I Love Him」では、同じ動きをする一心同体のダンサーの動きが、まさしくファンがテイラーを神様のように崇める様子を表しているように見えました。ちなみに「Daddy」はテイラーの父親ではなく、暗に「ファン」を示しているんだと思います。
曲中でスキップしながらステージを駆け回ったり、後半の「You should see your faces.(自分の顔を見てごらん。)」というフレーズで、ダンサーたちの驚いた顔をテイラーが指差して笑うという面白おかしく仕上げている演出は、シリアスな表現に寄せないテイラーらしさなのかなと感じました。
So High School
高校時代の初恋のようなドキドキ感と純粋さを描いている「So High School」 。「But Daddy I Love Him」とのマッシュアップにしているこの流れを考えると、「あんな経験(周囲の過剰な口出しによって崩れてしまった恋愛関係)もしたけれど、今私は幸せなの。みんなに(あれこれ口出しせずに)理解してほしいな。」という彼女の気持ちを表現しているようにも感じました。
Who’s Afraid of Little Old Me?
「Who’s Afraid of Little Old Me?」は、テイラーがこれまでアーティストとして経験させられてきた苦しみから社会への反撃の声を込めた一曲。動くステージの上で、立ったまま真上を向いて力強く歌い上げる姿がすごく印象的でした。タイトルのとおり「誰が昔のちっぽけな私を怖がるの?」という質問に、憎しみの表情を込め「あなたたちでしょう。」と歌い上げるテイラー。ここに数々の困難を乗り越えることで培ってきたテイラーの強さを感じます。
ラストのエフェクトが怖い
「Old Me」というキーワード、そして曲の最後に画面全体に映る「ゾンビテイラー」のエフェクト。これは完全にあの曲、そして「reputation Taylor’s Version」を示唆していますね…。
Down Bad
「Down Bad」は、大好きだった恋人が見せてくれた特別な時間や空間を、「異星人に宇宙船で誘拐された不思議な体験」として例えたユニークな比喩表現で作詞されています。テイラーの頭の中でイメージされたこの世界観を、なんとステージに巨大なUFOを登場させて再現。ゆるやかに動くステージの上で、宇宙船に手を伸ばすも置いて行かれてしまうテイラーがなんとも切なく美しい…
そしてラストの「I love you, it’s ruining my life. I touched you for only a fortnight.」のマッシュアップから次の「Fortnight」へのトランジションは、「Don’t Blame Me for What You Made Me Do.」を初めて聞いたときと同じような鳥肌が立ちました。
Fortnight
「Fortnight」は、失われた過去の愛に囚われる拷問のような時間と、その状態から救い出してくれた“2週間”の恋を描いた曲(※こちらは個人的解釈で諸説あり)。モノクロの映像で悲劇的な描写が話題となったMVの世界観を、見事にそのままステージに持ってきたという印象。傾いたベッドの上で歌うところや、実験台にされる場面、あのタイプライターのシーンも見事に再現されています。
最後にテイラーと相手役のダンサーが引き離され、割れたステージの上で向かい合う2人を見ると、私は「But Daddy I Love Him」が脳裏に浮かびます。個人的に「Fortnight」は3人の男性のことを混ぜ込んで創り上げた内容だと解釈しましたが、みなさんはどう捉えましたか?
The Smallest Man Who Ever Lived
自分を捨てて隠れてしまった元カレへの怒りを表現した曲です。ドラムを叩くマーチングバンドに扮したダンサーと共に、足踏みしながら前進するテイラー。テイラーのこの動きやパフォーマンスが、まさしくその元カレが行っていたパフォーマンスを再現していると話題に。この演出によって、この「The Smallest Man Who Ever Lived」という曲が、誰のことについて書かれた曲なのかテイラー本人から明示されたように思います。会場中が一体となって歌うパワフルなブリッジも見事…!
I Can Do It With a Broken Heart
「私は壊れて、床に崩れ落ちた。」という歌詞があるように、ステージ上に寝そべり起き上がることのできないテイラー。ダンサーに支えられながらなんとか着替えるという、まるで劇場のような衣装チェンジの場面から始まります。マイクを握ると共にスイッチが入り、“いつも私たちが見ているテイラー” に切り替わるところは目が離せません。
The Eras Tourの再現
この曲のポイントは、これまでのThe Eras Tourでのパフォーマンスの動きを取り入れたダンスパフォーマンスになっており、ステージ上のテイラー自身を忠実に再現していること。
つらい気持ちを表には一切出さず、「私はタフなの!」と自分に言い聞かせて、これだけのツアーをこなしてきたテイラー。曲を通して「傷ついたボロボロの悲惨な状態でも、私はステージ上ではやり切れるわ!」というプロ意識が感じられます。楽しいミュージカル調の曲なのに、テイラーの気持ちを思うと心が痛くなる…そんな1曲です。
以上、NEWセトリ7曲のパフォーマンスから考える私の解釈を紹介させていただきました。
「もっと他の曲も考察が知りたい!」という方は良かったらSNS等でシェアしていただけると嬉しいです!最近なかなか更新できていないので励みになります。
まとめ
2024年5月から始まった全く新しい「The Eras Tour第2章」。ここまでの約1年間のツアーで新しいダンサーたちとの絆も強まり、より一層テイラーの世界観をいっしょに創り上げているように感じます。
テイラー自身も「私はライブを重ねるごとに自分に自信が付いていくの。」と話していたように、同じツアーの初日公演と、6ヵ月後の公演を比べるだけでもその変化は明らか。The Eras Tour第1章でも数を重ねるごとにたくさんのアレンジを加え、日々磨きがかかっていました。もうすでにさまざまな「世界一」を手にしているのに、常に成長やチャレンジをしようとする姿勢にはいつも励まされてばかり。
今後のEras Tourに参加するには
2024年分のチケットの先行販売は、昨年の7月頃から実施されすでに全世界で終了しています。残された手段は、マリオットの懸賞を当てるか、公式リセール、転売されたチケットを購入する(非推奨)、直前の一般発売を狙って一か八かで海外に飛ぶしかありません。常にアンテナを張っていないと厳しい世界。
ヨーロッパ公演もレポがんばります!